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小学生の中学年におすすめの読みやすい本はコレ!

絵本 お役立ち

夏休みの読書感想文、読書感想画、秋の読書週間・・・。

まず、皆様のお子様は、そもそも読書はお好きですか?

私の子供は、正直よほど興味がある内容でなければ読みません!!

ましてや感想文となると、「面白かったです。」の一行で終わる可能性さえも危ぶまれたのですが、今回、子供の反応が良く、また私も間違った内容を書かないように一緒に読んだところ、「これは・・・!」と、どこか懐かしくもあり、ほっこりとした本に出会いましたので、ご紹介したいと思います。

くしゃみ くしゃみ 天のめぐみ

作 松岡享子    画 寺島龍一

こちらの本はタイトルの物語をはじめ、他、「とめ吉のとまらぬしゃっくり」「かん太さまのいびき」「梅の木 村のおならじいさん」「あくびあや太郎」の5話のお話が書かれています。

お気づきになった方もいるかもしれませんが、そう!これら全てが、人が生きてくうえで、“とめたいけれど、どうしても出ちゃうもの” また、子供(特に男の子)には面白がってネタにされてしまいそうなもの!それを昔話の語りで書いているので、親世代の私には某アニメの昔話を思い出し、子供にとっては内容が惹きつけられるようです。

それもユーモアあふれるしぐさや、音で表現されている箇所も多く、読み聞かせにもピッタリ♪

なんといっても、あれだけ、主人公たち各々の、くしゃみ・いびき・おなら…で、周りの人達から馬鹿にされたり、迷惑をかけながらも、全ての話が見事ハッピーエンドで終わるのも素敵です。

『とめ吉のとまらぬしゃっくり』のあらすじ

5話ある中でも、私が個人的に好きだったのが、この「とめ吉のとまらぬしゃっくり」です。

あらすじは、子供の頃、とめ吉は誤って大きな梅干しの種を飲み込んでしまったところから、昼夜問わず、天候に左右されることもなく、いつもいつも「しゃっくり」が出てしまうようになります。

ただ、唯一変化があるのは、風の向きによって、しゃっくりの音が変わること。

東の風が吹くときは、『・・・しゃく、・・・しゃく、・・・しゃっく』
西風のときは、『・・・ひゃく、・・・ひゃく、・・・ひゃっく』
風が北になると、『・・・ひく、・・・ひく、・・・ひっく』
南にかわると、『・・・えっ、・・・えっ、・・・ええっ』

春も近いある日、その日は東の風だったので、しゃくりは『・・・しゃく・・・しゃく』
それを聞いた村の人々は、野菜に水や肥しをやる時に使う「しゃく」が必要だったり、うっかり古くなったしゃくの買い替えの時だったのを気づいた人達で、あらものやは大盛況!

あらものやの主人は、仕事をしていない とめ吉に東の風を吹く日だけでも、しゃくだけではなく、ざるや籠、桶を担いで売る仕事を与えます。

ある日、とめ吉が『ざるかごォたるおけェ・・・しゃく』と叫びながら売り歩いていると、若い娘が、ざるを買うために呼び止め、とめ吉が品物を広げてみせていました。

「このざるは、いくらかいね?」と、娘が聞いたその時、風が南の風にかわります。

なので、とめ吉のしゃくりが「・・・えっ」。

娘は、とめ吉が耳が遠いのかと思い、大きな声で聞くも「・・・えっ。」の繰り返し。

からかっているのかと思った娘が、とめ吉の背中をどん!とぶつと、朝からずっと探していた大事な指ぬきが、娘の着物の袖口からポロリ。

大喜びの娘は、村一番のおはり上手の、おぬいさん。

お礼にとめ吉の着物の穴が開いているところを、つぎをあててあげるものの、繕うたびにいろんな箇所がボロボロ・・・。

とても今日中には終わらないと思ったおぬいは、なんと、とめ吉に嫁さんになってあげると申し出て結婚します。

そしてある日、相変わらず、あきないに出ていた とめ吉は、年をとった金持ちの夫婦の住む屋敷のそばを通りかかりました。

縁側でなかよく日向ぼっこをしていた夫婦の会話が、いったい、あとどのくらい生きられるものか・・・と話していたところ、さっと西風が吹いてきます。

すかさず、とめ吉が「・・・・ひゃっく!!」と、大きくしゃくりあげると、それを聞きつけた老夫婦は、めでたい事を言う、とめ吉を屋敷に招きいれます。

「ほんとに、わしら百まで生きられますかなぁ。」「・・・ひゃく、」
「ふたりそろうてかの?」「・・・ひゃっく、」

大喜びをした夫婦は、とめ吉をすっかり気に入り、跡取り息子がいないため、おぬいと一緒に暮らすことをすすめます。

やがて老夫婦が亡くなった後、屋敷だけでなく、田畑も受け継ぎ、立派な家の主となったとめ吉。

そして、その年の暮れのこと。

おぬいは天井の隅から、薄汚い紐がぶら下がっているのに気が付きました。

おぬいはとめ吉にたずねます。

へんな紐をどうするのか?声を聞きつけ、やって来たとめ吉は、その日は、北風が吹いていたので、「・・・ひく、・・・ひく、・・・ひっく」と答えます。

引くと思ったおぬいは、力いっぱい引っ張ると、そこには・・・!
また、今までしゃくり通りのままに、引き寄せた人たちに素直に従ってきた、とめ吉の最後の運は・・・?

と、とんとん拍子に読めるので、ぜひ読んで頂きたいお話のひとつです。

初版から50年以上のベストセラー!

本の初版は1968年と、もう55年前に書かれているのですが、翌年69年に‘‘次の世代を担う子供たちに優れた良い本を‘‘与える目的で制定された、産経児童出版文化賞しており、現在も増刷され続け長く愛されています。

ユーモアとテンポのよさで、読み聞かせなら幼稚園の年長ぐらいから楽しめますよ!

本を購入された人や、図書館で借りた方の評価も高く、”子供が大笑いでした”や、”毎晩毎晩一話づつ親子でじっくり楽しみました”などの感想も多く、中には筆者の子供と同じく、9歳の男の子で、長旅の電車の暇つぶしに・・・と思い持って行ったのだそうですが、最初は全く手をつけなかったものの、しぶしぶ読み始めると、瞬く間に読み終わり、お気に入りの話を後から読み聞かせたのだそうです!

作者 / 松岡享子 「くしゃみくしゃみ天のめぐみ」の誕生のきっかけとは

1935年生まれ、兵庫県神戸市ご出身の松岡享子さん。

児童文学作家、翻訳家、児童文学研究者、図書館員であった松岡さんは、自宅で家庭文庫を開き、のちに東京子ども図書館を設立しています。

日本でも大人気の『くまのパディントン』やディック・ブルーナの『うさこちゃんシリーズ』等、多数の翻訳をされ、今まで、絵本に触れた方には、身近な存在だったのだと気づかされます。

『くしゃみくしゃみ天のめぐみ』の素は、松岡さんが渡米し、メリーランド州・ボルティモア市の児童図書館員として勤めていた時に生まれたそうなのです。

当時、ハリーという男の子が松岡さんになついており、「これは日本語でなんて言うの?」と、何かにつけ質問していたそうですが、ある時、松岡さんがくしゃみをすると、すかさず、「God bless you」(神のご加護がありますように)と言ったのです。

「日本では誰かがくしゃみした時、なんて言うの?」ハリーの質問に日本語には似た言い回しがない・・・答えられなかった松岡さんに後悔が残ります。

あの時、ハリーになんて言えただろう・・・そう考える中で、この物語を思いついたのだそうです。

くしゃみをすると、神のご加護のように、幸運がやってくる!「くしゃみくしゃみ天のめぐみ」は、皆が幸せになれる素敵なラストで終わります。

今後、くしゃみをした人に、すかさず「天のめぐみ!!」と言えると面白いですよね♪

画 / 寺島龍一 松岡享子さんが語る成功した絵本とは

1918年生まれ、東京府ご出身の寺島龍一さん。

1979年まで筑波大学の教授をされており、1997年「アンダルシア讃」で恩賜賞・日本芸術院賞受賞され、日展理事、顧問もされておられました。

東京美術学校在籍中にはよく人物画を描かれており、エキゾチックな女性像も描かていますが、児童書の挿絵も沢山手掛けられ、1966年発行の「レトロなじどうしゃたち」には、文字がなく、寺島さんの描かれたレトロな車等が、画力だけで、その年代の懐かしさを思わせてくれる作品もあります。

そして、「くしゃみくしゃみ天のめぐみ」は、寺島さんの得意な人物と、美術館で鑑賞するかしこまった作品とは異なり、表情豊かなユーモラスさが、よりマッチしてこの本の魅力となっているのだと思います。

以前、作者の松岡享子さんが対談でお話されていたのですが、「成功した絵本はみな、挿絵が成功しています。作者が見えていなかったような細部を、画家が描くということもあるんです」と語っていました。

まさしく、ここにベストセラーを大きく担っているのが、寺島さんの画力といっても良いのではないでしょうか?


まとめ

本離れ(活字離れ)という言葉も聞いたりしますが、読書=勉強と捉えたり、読む時間がもったいない・ネットで内容が大体分かるから、それで理解しているという時代にもなってきました。

確かに私の子供は普段はゲーム三昧ですが、そこに面白い世界があるから楽しんでいると思います。

しかし、本にも面白い世界があるんだよ!と、いう事を小学生のうちに伝えて、子供の記憶に残って本が衰退しない世の中になればいいなぁ・・・と思っています。

実際、今回『くしゃみくしゃみ天のめぐみ』は最初にもお伝えした通り、5話で構成され、読みやすい内容の長さで、人間の身近なクスッと笑ってしまう行為が、ハッピーエンドで終わること。

「あの場面、笑ったよね~!」と、共有してみてもいいかもしれませんよ♪

松岡享子さんと寺島龍一さんは、ご逝去されていますが、耳で聞き、読んで心に残る本は、50年以上経った現在でも楽しく読ませてもらっています!と、お伝えしたいですね!

参考文献「母の友」2019年9月号 絵本選びについて特集
参考文献「母の友」2012年4月号 取材記事

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